岡山市民の文芸
現代詩 −第51回(令和元年度)−


グレーゾーンの中で 久山 順子



今日は、サボりたいなぁと思う
そんなこと、だめだろうと
内なるこころが言う。
その反対に、サボれサボれと
内なる心が言うが
そんなこと、出来ないと
外なる、私が反抗する。
内と外とで、せめぎ合うこころ。
二つの間で微妙に揺れる。

「おめでとう」の笑顔の裏に、
羨望がちらり、覗く。
貰った人の、努力の勲章。
なのに、何故だかやるせない。
嗚呼、嫌だなぁ、こんなこころ。

白だ黒だ、YesだNoだと、
二分したがる、世の中で、
はっきり決めれば、角が立つ、
どっちつかずの、グレーが好き。
のらりくらりも、私の流儀。
敵も味方も作らない、私の生き様。
曖昧模糊のグレーゾーンに、
癒されたって、いいじゃないの。
なければなっていたかも、過呼吸に。

白黒グレー、内のこころと外のこころ。
どっちが善で、どっちが悪なのだろうか。
誰もが持っていながら、見せない襞の奥。
バランスボール上で、曲芸をする。

高嶺から、これを見下ろす、
厳正中立の、コンダクターが、
居る気がして、ならない。

これからも、息継ぎをしながら、
グレーゾーンの中を、明るく楽しく、
癒されながら、私の流儀で、
泳いでみよう。
ありがとう。グレーゾーン。


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